パニック障害を、甘えとみなす世間の目はどの程度妥当なのか?

どの精神障害にも言えることですが、パニック障害も普段第三者に明確に訴えるものがなく、甘え、社会性の欠如、性格の幼さなど、良くない捉え方をされがちです。病気に関して本人の人格を攻撃することが正しいことではないことは、おそらく誰もが知っているのでしょう。しかし一方で誰もが、「こんな世の中に生きていて、心が傷ついていない人間などいない」という感情を有しており、なぜパニック障害の人物だけが理解され、許容されなければならないのか、自分には言い訳をする機会すらないのにと不公平感を持ち、前述のような捉え方につながるのです。

 さて「甘えの構造」という言葉が流行語になったのは1971年のことです。日本人は伝統や権威にすがり、そのことで強がる世界でも独自な甘え民族であるという文明批判で、今ではこれが日本固有のものではまったくないことが通説となりました。この言葉を作った人物は「島国」「井の中の蛙」などという概念にこじつけてみたのですが、甘えは文明社会のどこにでも存在するものなのです。

 パニック障害には、実はこの他者に依存する気質がかかわっている場合が多いことは否定できない事実です。『急性不安神経症』とも呼ばれるこの症状は、何か困ったこと、耐え難い不快感があったときに、正常な人であれば判断を下して実行するか、諦めて忘却すべきところを、誰か、または何か他のものにすがり、何とかしてもらえないかと助けを呼びながら、心身ともに問題に対処せずに強いストレスを蓄積して、結果として表面にさまざまな症状が出る疾病であるからです。しかし、「甘え」と批判する場合、病気のことを理解もせずに人格を攻撃しているだけのことが多いのです。甘えを克服しないまま、甘えたいのに甘えないだけの未熟な人間は、むしろパニック障害予備軍です。パニック障害を正しく、深く知っておくべきでしょう。