パニック障害の発作は、運動がいやだから、合わないからではない!

皆さんは小学校のとき、危険な「失神ゲーム」「失神遊び」をしたことがありますか。見ているだけの人もいたでしょう。深呼吸を繰り返し、息を止めたあとよってたかって肋骨を押すと、肺の中に異常に二酸化炭素がたまり、あっさりと失神してしまうのです。大人は二酸化炭素の増加に反応し、本能的に状況を回避しようと抵抗します。子供のうちは遊びの過程で体が危機を察知できず、脳も二酸化炭素を受け入れて活動を停止してしまいます。たださすがにそこからは本能が慌てて現状復帰させるため、三分間気絶して脳死に至ることはまずありません。

 また、中学校のときに、登山中に奇妙な表情で座り込み、しばらく別人のような表情で、何か宗教的な身もだえをしてあえいでいる友達を見たことがありませんか。これはどう見ても激しい運動で酸欠になっただけではありませんよね。しかしふもとに下りて、養護教諭と一緒にみんなを待つ彼らは、まるでもとの友達に戻っているのです。

 テレビのマッスル系の番組で、『最後の壁にぶら下がる選手を乳酸が苦しめる』という表現がありますが、乳酸は主に運動で筋肉疲労が重なった時に、無酸素呼吸という生理現象で体内に蓄積する物質です。脳はトルエンや毒薬といった有害物質を厳しくブロックして侵入させませんが、乳酸については有害物質では本来無いので受容してしまいます。この乳酸は脳内に入った後、何と失神ゲームの元、二酸化炭素へと変化してしまいます。この二酸化炭素は、生命維持を司る『脳幹』の化学受容体を刺激し、脳は身体の危機を誤認してパニック発作を起こすのです。これが『窒息誤警報仮説』です。

 したがってパニック障害の人が運動を続けているうちに奇妙におびえたり悶絶するとき、それは根性が足りないからではありませんし、運動はそれ以降しないという消極的な判断をする必要もありません。むしろメニューを念入りに設定し、適度な運動を規則正しく行っていくことで、パニック障害そのものが根治できる可能性があります。適切なのは、球技のようなコミュニケーション必須の集団スポーツです。